5月の風~ 『こくりこ』
2007年 03月 28日
でも、この2、3日の暖かさと、爽やかな風は・・・まるで5月です。
5月の風~ と言えば、与謝野晶子の歌に・・・
ああ皐月 仏蘭西の野は 火の色す
君も雛罌粟(こくりこ) われも雛罌粟
という歌がありました。 歌集「夏より秋へ」より
40年も前、未だ20代の頃に、大好きだった、サルバトーレ・アダモの歌の中に
“何とかの丘の上にコクリコ”というフレーズの出てくる歌があり、
其処だけが妙に印象に残っていて、
何時か! フランスに行く事があったら・・・
絶対にコクリコの咲く野原を見るのだ! と心に誓っていたのです。
後年、フランスのアルザスへの道すがら、
“真っ赤なコクリコ”を探し求めたのは勿論の事。
しかし・・・一面に咲いていたのは、菜の花。
野原一面に咲くコクリコではなかったけれど、あちこちの道端に咲いていたコクリコ。
あの、アダモのコクリコを見たのよ~~~♪~ と言う、夢が叶った瞬間でした。
ところで、コクリコを漢字では・・・雛罌粟と書くのですね。
実際には“ひなげし”と読むのでしょうけれど・・・
晶子の歌では、矢張り“こくりこ”でなければ。ならない。
そして、この晶子の歌について調べてみると・・・このような記述がありました。
1912年(明治45年)5月5日に、
一足先に渡欧していた鉄幹(寛)の後を追いパリに向かった晶子は、
5月19日にパリに到着しています。鉄幹に再会した晶子の心の喜び。
時は5月、フランス の田園はコクリコの花で埋められていました。
鉄幹との合著『巴里より』によれば・・・
晶子は『窓掛の間から野生の雛芥子の燃える様な緋の色が見える』と記述し、
鉄幹は『麦と葡萄で青白んだ平野の面に赤と、紫の美しい 線を彩どるのは、
野生のコクリコと矢車草とが、
総ての畦路と路傍とを埋めて居るのである』と書いています。
コクリコとは、英では「ポピー」、
フランス語では「コクリコ」、スペイン語では「アマポーラ」と称される花のことで、
日本だと、「ひなげし」です。漢字で表記すると、雛罌粟。
この雛罌粟の罌粟は「芥子」とも表記されることがあるので、
一般的には「雛芥子」と表記されています。
こうしてみると、
コクリコというフレーズの出てくる、アダモの歌・・・『アマポーラ』という歌もありましたね。
そしてアグネス・チャンの・・・『ひ~~なげし~のぉ花が~』 と言う歌も。
世界中で愛されている『ひなげし』
私の・・・こくりこ
それは、晶子の歌った、火の様な色の雛罌粟と、
アダモの歌に出てくる、真っ赤なコクリコなのです。
3月末に吹いた“5月の風”を感じて綴った・・・今日のブログでした。